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2015年8月7日金曜日

「はぁ、どうしたらいいんだろう」という状態は"fret"です!その他、拒否反応を込めた"horrid"などについて。

こんにちはー、トレーナーどばしです。






今回は17世紀に発生したロンドンでの腺ペストの流行をテーマにした本の英語を扱いたいと思います。その当時の少女がつけた日記という形を取ったフィクションです。






タイトルは”The Great Plague-A London Girl’s Diary 1665-1666”で、作者はPamela Oldfield です。






今回の英文


I fretted all day about the plague and could not concentrate on my crochet work. That work little collar. I swear I shall never wear it. I muddled the stitches until Aunt NEll quite lost patience with me. I wanted to talk of the plague but feared to put it into words. I cannot believe that calamity is just around the corner. I was born in London and have lived here all my life. We cannot have the plague here. Imagine what would become of us if the King were to take the sickness and die.



今回の英語の音声を聞きたい方はこちらをどうぞ!











この英語、こう使おう!


”fret”
”fret”という動詞は「うーん」「はあ」と思い悩んでいます。基本的にはイギリス英語で使われる英単語のようです。自分にはどうにもならない感じが伝わってきます。大丈夫ですか、と声をかけたくなるような状態のfretだと覚えておきましょう。










”plague”
基本的には「疫病」という意味ですが、イギリスで”the Great Plague”というとこの時の腺ペストを具体的に指します。












”crochet ”

かぎ針を使って編むことを”crochet ”といいます。私は編み物には詳しくないのですが、「クローシェ編み」って普通に日本語でも言うのでしょうか。










”work”
「働く」ではない動詞の”work”について以前に説明しましたが、今回の名詞のworkも働くことの「仕事」というニュアンスからすこし調整が必要な意味になっています。今回のイメージとしては「やるべき作業」です。お金は発生しないけどやっておかないといけないことですね。そう考えると、英語の感覚では仕事というのはお金を稼ぐことというより、その人がするべきことと見ているのかもしれませんね。









”horrid”
”horrid”はかなりマイナスイメージをもった形容詞です。「すごい嫌な」「めちゃくちゃこわい」「吐き気がするような」。そうとうな拒否反応をバシバシ伝える英単語です。話している相手が悪口などで使ったら、あぁこれはとても嫌なんだな、と察しましょう。









”muddle”
”muddle”という動詞は、「もともとちゃんとしていたものをだめにする」というイメージです。「ぐちゃぐちゃ」「ごちゃごちゃ」にする、なっているんですね。秩序があったものが混とんとしてしまう、そこから「台無しにする」という意味にもなります。今回はそれが近いでしょうか。









”lost patience”
直訳すると「忍耐を失う」となります。なんとなく伝わってきます。「堪忍袋の緒が切れる」「我慢の限界が来る」といった感じでしょうか。この感覚だと英語ではpatience(忍耐)は所持するものというイメージがあるのかもしれませんね。










” put it into word”
” put ~ into word”はそれぞれの単語のイメージから全体の意味がつかみやすい英語かもしれません。「何かを言葉に込める」という感じですね。「~を言葉にする」という日本語になるので、抱えていた思いや考えを言葉にして表現しています。それまでの経緯があったことを思わせます。










”calamity”
「災厄」や「災難」といった日本語があてられる名詞です。「人に大きな不幸や損害をもたらすもの」というイメージです。人災も自然災害もどっちも含みます。










”just around the corner”
”just around the corner”には「もうすぐそこ」「目と鼻の先」という日本語があてられますが、もとの英語の「すぐそこの角」というイメージはなかなか鮮明なのでそれで覚えるといいかもしれません。すぐそこの角まで疫病が来ていると想像すると、ぞっとします。










”if the King were”
“were”があるので文法でいう「仮定法」が使われています。仮定法は現実とは別の、起こりえない世界を想像して話している状態です。なので、この女の子は王様が疫病にかかって死ぬことなど、まずありえないと伝えようとしていることがわかります。











全体訳

一日中ずっと疫病のことばかり考えてた。かぎ針編みの作業に集中できない。あのちっちゃな襟がほんっといや。あんなの着るわけないじゃない。ネルおばさんがわたしにもうつきあってられない、ってなるまで、編み込みをだいなしにしてやっちゃった。疫病について話をしてみたかったんだけどな、でも口に出すのがこわい。そんな災難がすぐそこまで来てるなんて信じられない。わたしはロンドンで生まれてずっとここで育ってきたんだもん。ここに疫病が来るなんてありえない。王様が病気になって死んじゃうなんてことになったら、わたしたちはどうなっちゃうか考えてみてよ。

2015年8月6日木曜日

その"fiddle"や"anticipation"に潜む感情とは・・・。

こんにちはー、トレーナーどばしです。





今回は1981年から続く、ロンドンマラソンについての本の力を借りたいと思います。



タイトルは”The London Marathon “で、著者はJohn Bryant です。





英文は著者が実際にロンドンマラソンを走ったときのことを書いています。




今回の英文


I am standing on the start line like a teenager on a date, all hope and anticipation. The spitting rain shivers off my shorts and trickles down my all too naked legs. Someone behind is treading on the backs of my shoes, and hundreds more are pushing me forward. I am already breathing too fast and there's a taste of panic round my lips.
I am nervous, uncertain, excited. I fiddle with my watch, strain for the boom of the cannon and wonder if this, at last, will be the one I've been waiting for.




今回の英文の音声はこちらで聞けます!











全体訳

私はデートの日を迎えた10代の子のようにスタートラインの上に立っている。願望と予測でいっぱいだ。パラパラと落ちてくる雨は私の短パンで細かな粒になり、むき出しになった足をつたって落ちていく。後ろにいる人が私の靴のかかとを踏みつけてくる。何百人を超える人数が私を前へ前へと押しやる。すでに呼吸がかなり早い。唇のあたりがパニックをふっと感じる。
張り詰めていて、落ち着かなくて、ドキドキした気持ちだ。時計をいじり、バンという砲声に身を構えつつ思う。ついに、自分が待ち続けていたものが本当のことになるのだろうか。










この英語、こう使おう!


”on a date”
“date”は「日付」や「日時」といった意味もありますが、今回はかなり著者がわくわくそわそわしているし”like a teenager”と言っているので、これは「デート」でしょう。”on”がついていることで「~の状態で」ということでデートの日の子といったイメージでしょう。うんうん。







”anticipation”
“hope”と”anticipation”は、「これからこういうことが起きるんじゃないかな」というところでは共通していますが、hopeはさらに「こうなって欲しいな」という「願望」です。一方、anticipationはどちらかというとその起きそうなことに対してのわくわくやどきどきやいらいら(どの感情かはそのときどきですが)が感じられます。ちょっと複雑な名詞のanticipationさんです。








”spit”
今回は雨の降り方を表現している”spit”ですが、基本的には「ぺっ」とつばを吐く動作を表します。雨の降り方にspitを使うと、「パラパラ降る」くらいの雨になります。それにしても、雨をつばにたとえるとはなんともなんとも。









”shiver”
恐怖とかで「震える」と言う使い方が一番多いですが、今回は雨なのでたぶん震えているわけではないということで、「細かくばらばらになる」というイメージです。"off"もついているのでさらにそのイメージが強くなっています。その他の「震える」の英語を知りたい方は、「「震える」英語はバリエーション豊か。その震え、恐怖?寒さ?怒り?違いがわかる学習者になりたい。」の記事をどうぞ!










”trickle”
”trickle”という動詞のイメージは「ちょろちょろ」と流れていく感じです。今回は"down"も一緒なのでちょろちょろと流れ落ちているんですね。


ちょろちょろなtrickle








”too naked"
「あまりにもむきだし」ってどれだけむきだしているんだろう、と思ってしまいますが、日常の格好とちがって短パンを履いていることで足がほとんど出ていることを強調して伝えようとしているんだと思います。










”tread”
”tread”は「足でぐっと踏みつける」しぐさです。圧力を感じます。この使い方は基本的にイギリス英語のようです。








” taste”
「風味」とかの意味の"taste"なので、"a taste of panic"とはどんな味だろうと首をひねってしまいます。残念ながらどんぴしゃでくる意味は辞書には見当たりません。


これはどうやら比ゆ表現のようです。いちばん近いのは「ほんの少しのあいだ経験する」というニュアンスでしょう。唇のあたりでパニックを「ふっと味わった」のではないかと私は推測しました。つまりぶるぶる震えていることを遠回しの表現で伝えようとしているようです。ちょっとノンネイティブにはレベルの高い使い方です・・・。









” fiddle”
「手でいじくる」という意味の動詞になりますが、そこには本人に「つまらない」とか「どうしよう」といった退屈や不安の感情が込められています。髪をいじるしぐさなどがまさにfiddleという感じですね。








”at last”
"finally"と同じ意味です。長い時間の流れがあって、「ようやく」「とうとう」というやっとだよ、という気持ちが込められます。






おすすめ記事>英語学習するならチャンクを意識しよう!独学ならなおさらチャンクは欠かせない。

2015年8月5日水曜日

"residence"や"fabric"などの建築関係の英語の意味。その他、"destroy"のイメージなどについて。

こんにちはー、トレーナーどばしです。







今回はロンドンの建築について書かれた本の英文を使いたいと思います。歴史の古い建築物が多いロンドンならではの本です。







タイトルは”Great House of London”で、著者は James StourtonとFritz von der Schulenburg です。




それではランべス宮殿という建物についての英文を見てみましょう。



今回の英文


Lambeth Palace is part of the enduring fabric of London. The Archbishops of Canterbury have owned the site since the twelfth century, and it has been their main residence since the thirteenth century. Royal dynasties have come and gone, the Civil War may have disrupted their tenure and World War II almost destroyed it, but the s are still at Lambeth.



今回の英文の音声を聞きたい方はこちらをどうぞ!










この英語、こう使おう!


”enduring”
“enduring”は形容詞としての役割をもった英語で、「長い年月を耐え忍んで残っている」というイメージです。建物や樹など、動くことができなかったりして自分では何もすることができないものに使えます。”survive”と違って受け身に生き残っている感じです。



じっとenduring








”fabric”
”fabric”は「織物」といった”textile”と似たような意味で使われることが多い名詞ですが、「建物のそれぞれの構成部分」という意味もあります。屋根とか床とかドアとか。


ただ、今回は”fabric of London”なので、文字通りに受け取ろうとすると、ロンドンの屋根とか床ってなんのことやらとなってしまいます。おそらくこれも比ゆ表現で、ロンドンという街全体を建築物になぞらえて、ランべス宮殿がそれを構成する建築物の1つであるということを伝えようとしているのではないでしょうか。








”The Archbishops of Canterbury”
以前、”cathedral”(聖堂)と”church”(教会)の違いを説明した回がありましたが、英国国教会のなかでもっとも権威のある聖職が”The Archbishops of Canterbury”、「カンタベリー大主教」です。ちなみにイギリスがカトリックだった時代までは「大司教」と区別します。












”residence”
「レジデンス」というカタカナを最近耳にするようになりましたが、”my residence”というふうに使うのはちょっと気をつけた方がいいかもしれません。具体的に住んでいるところとしてのresidenceは「豪邸」「邸宅」のような大きな家というイメージが伝わります。自分で言うとハードルが上がってしまうかもしれません。

ただ、住む場所という一般的な「住居」の意味で使うこともあります。


a residenceってこんなのでしょうか。












”dynasty”
日本の歴史では使わない英語の”dynasty”は「王朝」や「王家」といった意味の名詞になります。














”the Civil War”
”the Civil War”はアメリカならば「南北戦争」になりますが、イギリスの人が書いている本なので今回は17世紀に起きた「ピューリタン革命(清教徒革命)」を指します。たしかに「市民戦争」といっても、その国にとってのですから国によって指す事柄が変わってくるんですね。













”disrupt”
”disrupt”は「いつもの状態は続けられないようにする」というちょっと細かい使い方をする動詞です。少しかし硬い表現なので、「不能に陥らせる」とか「継続困難にする」といった日本語になるでしょうか。












”tenure”
土地や家の法的な保有権のことを”tenure”といいます。重職の「在任期間」という意味でも使える名詞です。












”destroy”
”destroy”は「破壊する」というニュアンスの動詞ですが、それだけでなく「もと合った形をなくすまで壊す」「能力がゼロになるまで痛めつける」といった徹底さを感じる英語です。今回はそれに副詞の”almost”がついているので、再建不能なくらいになりそうだったんですね。


これはもうdestroyed







全体訳

ランべス宮殿はロンドンという街を長きにわたって形づくっているものの1つである。この宮殿がカンタベリー大主教の所有となったのは12世紀のこと。そして13世紀以降、今にいたるまで大主教の本邸となっている。数々の王朝が現れては消え、ピューリタン革命のときにはカンタベリー大主教の保有権は侵害されていたかもしれないし、第二次世界大戦中にはあやうくがれきになってしまうところだった。それでも現代の大主教たちもこのランべス宮殿に暮らしている。




2015年8月4日火曜日

"go"の「やっていける」、”work"の「うまくいく」は会話に便利。その他、街に関する英語など。

こんにちはー、トレーナーどばしです。






今回は短編の小説の英文で行って見ようと思います。






タイトルは”London Tsunami & Other Stories”で、作者はJaq Hazell。





それではLegendという題の話の最初の部分を見てみましょう。




今回の英文
Olly was sick. I wanted to be just like him, but that's not how it works. You've got to follow your own way.
It was dark when we went out-about half-four/five-and I said to Olly,'Innit too icy?' But nothing stopped him. He wouldn't go a day without doing it. He was addicted and practised all the time. That's how he got so good.

I thought we'd walk there, but Olly didn't do walking no more. He had to run-always. He knew every back yard, every walls, railings, drainpipes. The city and its buildings was his world. He owened it.


今回の英文の音声を聞きたい方はこちらをどうぞ! 












この英語、こう使おう!

”sick”
「何か良くない状態」を表す形容詞の”sick”ですが、一般的には「病気の」という意味が多く使われます。今回も言葉としては外とおりですが、どうやらOllyは体の方ではなく心の方のsickなので「病んでいる」という日本語が近いでしょう。










”how”
5W1HのH,「どんな」「どれくらい」といった意味で使われる副詞の”how”ですが、今回はあまり方法や程度について伝えようとしてる使い方ではないようです。「なんとか~のやり方で」といったニュアンスです。










”work”
動詞の”work”で意外とよく使われるのが今回のような「うまくいく」「いい感じになる」といった意味です。”success”("success"の使い方とコロケーションまで大仰でなく、でも思った通りの結果になるようなことをworkで伝えられます。問題なく進んでいることを伝えたいときにこのworkは重宝します。同じようにget"の「~ちゃった」という意味も英会話に便利です(「になる」「された」という意味の英語"get").。











”'ve got to ”
意味は”have to”(~しなければならない)と同じです。”have got to”はイギリス英語です。










”follow”
”follow”はいろいろな使い方がある動詞ですが、「あとに続く」というイメージです。今回は自分自身のあり方にfollowするので、その事実をあとから「受け入れる」「認める」といったニュアンスになります。








”Innit ”
“isnt’it”のノリが軽いバージョンです。「じゃない?」「じゃね?」などなど。





”icy”
“clold”よりも寒い状態を伝えたいときに使う形容詞が”icy”です。(寒さに「震える」英単語は?













”go”
基本レベル(だと思っている)英単語をわざわざ辞書で調べるのって、ちょっとプライドが傷つくような気がしてついスルーしてしまいがちです。でもそんな自尊心は要りませんというより邪魔になります。堂々とわからなければ辞書や人に聞きましょう。「行く」という意味とは遠い”go”はけっこうあるんです。



今回のgoは「やっていける」「余裕を持ってやれる」といったニュアンスです。”go the work”なら「その仕事をやっていける」という意味になります。





”addicted”
今回の”addicted”は何か薬物やアルコールなどの「中毒」になっているのではなく、それと似たように「のめり込んでいる」という形容詞的な使われ方です。











”practiced”
ただ”do”(する)だけではなく、「習慣的にそれを行って慣れてしまっている」状態を”practiced”と言います。「習い性になっている」という感じでしょうか。











no more”
「もはや~ではない」という日本語がよくつけられますが、"no more"と来たら、それなら代わりにどうなる?という気持ちがわきます。今回はもう走り出してしまうんですね。










railing”
"railing"は柵や手すり、ガードレールなどの意味があるのですが、ちょっとどれか決めるのはこの文章では難しいです。


こういうのか




それともこういうのか







drainpipe”
drainpipe”は「下水管」「排水管」などに意味もありますが、おそらく地下をOllyは走っていないでしょうし、ロンドンと言うこともあるのでイギリス英語での意味の「雨どい」だと思われます。









全体訳

オリィは変だった。わたしもオリィのようになりたかった。でもそんなのどう頑張ってもできるわけなかった。けっきょく自分は自分らしくないといけない。4時半か5時半、わたしたちが外に出ると暗い。わたしはオリィに言う。「超寒くない?」だけど彼を止められるものなんてない。それをやらない1日なんて耐えられないみたい。のめり込んでずっと何度もやってる。それをしていると機嫌がいい。
わたしはそこらへんを、歩くのだと思ってた。でもそこではオリィはもう歩くなんてことはしなかった。走らないといけない―ずっと。裏庭は全部知ってたし、壁も柵も、雨どいも、全部知ってた。この街と建物はオリィの世界だった。オリィのものだった。


2015年8月3日月曜日

お店の経営などにまつわる英単語など。

こんにちはー、トレーナーどばしです。






きょうはロンドンに関係した歴史上の有名人を集めた本の英文でトレーニングしたいと思います。
お店の経営についての単語がいろいろ出てきますよ(「経営学」を英語にすると?学問の分野の英単語





本のタイトルは”A History of London in 50 Lives”で著者はDavid Longです。”Bizarre London: Discover the Capital’s Secrets &Surprise”や””A History of London in 100 Places”を書いた人です。






それで今回の英文を見てみましょう。




今回の英文


The oldest shop in London is that of the hat maker James Lock in St James's Street, and the second-oldest the wine merchants a few doors down the hill. Lettering outside Berry Bros. & Rudd proudly states 'established in XVII Century', and inside the panelled premises of the eighth-generatoin family firm are giant leather-bound ledgers containing the personal details of many distinguished customers including Lord Byron, Beau Brummell, George IV, King Louis-Phippe and Napoleon III.


文章内のリンクはその他の記事で出てきたときと同じ使い方をしている英単語です。


今回の英文の音声を聞きたい方はこちら






全体訳


ロンドンで1番の老舗はセントジェームス・ストリートにある「ジェームス・ロック」という帽子屋だ。そして2番目に古いのが、その坂を数軒ほど下りたところにあるワイン商の店だ。「
ベリー・ブロス・アンド・ラッド」の店の外には、誇らしげに「創業17世紀」と書かれている。店内には同族8代にわたって営んできたことを示すなめし革で製本された台帳が化粧版に飾られている。そこには多くの著名人の顧客個人の細かな情報が載っている。バイロン男爵に洒落者ブランメル、ジョージ4世、ルイ・フィリップ王そしてナポレオン3世。








この英語、こう使おう!


”hill”
”hill”というと「丘」、が定番ですが、市街地にある丘ではちょっとしっくりきませんね。今回は「坂道」でいきましょう。


高台とかが近いイメージでしょうか。





”letter”
こちらも”letter”というと「手紙」が定番ですが、今回は”ing”がついているように動詞です。ニュアンスとしては「文字を書く」です。印刷や刺繍などもありです。


看板文字が書かれているんですね。







”proudly”
”proudly”は「誇らしげに」している状態を表す副詞ですが、もう少し広げて「大きくて存在感がある」状態も表します。ちょっとこのお店の看板がどうなっているのかわかりませんが、後者の意味ももしかしたらあるのかもしれません。








”panel”
”panel”は「パネル」だろ、とその通りではあるんですが、今回は動詞としての使い方で「額縁などをつかって見栄えよく貼り出す」ことを言います。壁にただ、ぺたっと貼り付けるだけじゃないんですね。


よくお店の中に飾ってあるやつです。






”premise”
”premise”は論理学で使われる、議論の「前提」のことを指す名詞です。このように話の流れからすると「うん?」という英単語が出てきたら、ちょっと立ち止まってみましょう。考えられるのは二通り。違う使い方(意味)で解釈してしまっているか、書き手話してが比ゆ表現としてあえて使っている。



premiseを英和辞書を調べると不動産物件のような意味や契約書の頭書きなど、かすりそうでかすっていない感じのものが並んでいます。近いような気がするときはだいたい合っていません。通る意味はばっちりストライクゾーンにあるものです。



ということで、今回はあえて書き手がこの言葉を選んだようです。17世紀から続いているという事実を、命題証明するように根拠となるものを提示している雰囲気を伝えようとしているのかもしれません。もちろんこれは私の推測ですが。




このように、英会話を上達するうえでもやはり言葉の「空気を読む」意識は必要だと思います。辞書や単語帳に出てくる意味だけをそのまま覚えるのではなく、どうしてその言葉を使ったのかを想像するトレーニングをすると、相手が本当に伝えたいことにより近づけるようになるでしょうし、自分の伝えたいこともより正確に言えるようになるのではないでしょうか。



「気持ちを察する人であろう」「・・・」




読み間違いをすることは必ずありますが、読むことを続けていることで本当に使える英語が身につくのだと私は思います。





”family firm”
これは経済分野の英語には出てくるかもしれないですね。血のつながった家族などが代々事業を営む「同族経営」です。










”bound”

“bind”が過去分詞の形になって形容詞の役割をしています。「綴じる」といった意味から、今回は「製本された」「装丁された」というニュアンスになります。以前に出てきた電車などの”bound”とは使い方がだいぶ違いますが「固定されている」というイメージは共通しているのかもしれません。










”ledger”
商売のお金の出入りを記録する「台帳」です。










”distinguished”
「何かと何かを見分ける」という意味の”distinguished”が過去分詞となって形容詞の役割をしています。もう少し意味を広げて「ぱっと他の人と区別がついてしまう人」というニュアンスで、「著名な、有名な、抜きでた」といった意味になります。プラス評価を合わせて伝えられます。


隠しきれない存在感 "distinguished"



2015年8月1日土曜日

"view"や"seat"や”home"のあまり知られていない意味について。

こんにちはー、トレーナーどばしです。





今回は古地図の世界からロンドンを眺める本から英文を拝借しようと思います。






タイトルは”London: A Life in Maps”で、著者はPeter Whitfield です。


ロンドンが描かれた地図としては初期の16世紀のものについて説明している英文です。




今回の英文


When these earliest maps and views of London were being made, the city was one single community, covering just one square mile, almost all of it still squeezed tightly within its encircling walls. Its only satellites lay a mile away in Westminster, seat of the national government, and across the river in Southwark, home to taverns, theatres and brothels. Physically this was still, in essence, the medieval city, reaching from the Tower in the east to Temple Bar in the west.






今回の英文の音声が聞きたい方はこちらをどうぞ!












全体訳


こうしたロンドンの地図や描かれていた時代は、この町はたった1つの共同体で、1マイル四方ぐらいを占める程度でした。街のほとんどは円形の壁の中にぎゅっと詰め込まれていたのです。衛星都市も、そこから1マイル離れたところに中央政府が置かれていたウェストミンスターという町があり、川の向こう側に酒場や劇場、売春宿が固まっていたサザークが並んでいるくらいでした。それでも、本質的には東のロンドン塔から西のテンプル・バーまでのこの中世都市の存在としてはそのようなものだったのです。





この英語、こう使おう!


“view”
名詞の”view”というと、「考え方」や「理解の仕方」、「景色」などの意味でよく使われますが、今回の意味は「どこかの場所の絵や写真」です。つまり場所や景色に限定した”picture”や”photograph”なので、人を描いたり写したものはviewではありません。





◎”one single”
“one”も”single”も同じような意味なのになんで?と思いますが、これは強調をしています。「それ1つだけ、それだけ」ということを伝えようとしています。







”cover”
”cover”という動詞は「覆う」で覚えている方も多いと思いますが、そのイメージを広げて今回の意味もとらえましょう。敷地の広さがその分だけ「覆っている」、つまりそのくらいの「広さがある」という意味になります。その広さをカバーしているんですね。







”square”
形容詞”square”のイメージはまさに「四角」の状態。そこから延長して4つの辺の長さ、「○○四方」という使い方ができます。







”squeeze”
”squeeze”は「手や物で絞る」イメージの動詞です。今回は過去分詞の形になっているので、絞られている側の立場になります。町が”tightly”に絞られるというのも面白い表現ですが、マンガのようにぎゅっと詰め込まれた状態だと思えばいいでしょう。







”encircle”
“encircle”は”circle”状態にするという動詞です。「丸く囲う」ということです。








”satellite”
もともと星の「衛星」という意味の名詞ですが、今回のように主要都市や主要国のまわりにある「衛星都市」「衛星国」という意味にも使えます。”city”や”country”をつけなくても、そうした文脈で使えばその意味で伝わります。












”seat ”
私たちおなじみの「椅子」ではまったく今回は意味が分からなくなります。文章など、かしこまった場合に使う意味ですが、政府機関がある町のことを”seat”と言います。実際になかなか私たちは使えないかもしれませんが、知っていると本やニュースで出てきたときに、あれか!と納得できますね。










”home”
viewやseatもそうですが、簡単な単語ほど意味を取るのに苦労します。今回の”home”は「拠点になっている」というニュアンスになっています。それでもやはりただ存在しているのではなく、「家」のように活動などの中心になっているイメージは共通しています。









”tavern”
inn”というと地方の田舎にあるイメージですが、”tavern”はかならずしもそうではありません。中世のSouthworkもロンドンに近く賑やかな町だったようです。










”brothel”
娼婦たちがいた店が”brothel”です。中世のイギリスなので「遊郭」という言葉はちょっと合わない感じがしますが、言わなくはないんですかね。





2015年7月31日金曜日

「放浪」についての英語。シェイクスピアについての本から。

こんにちはー、トレーナーどばしです。




以前、ディケンズの足跡をたどる本をピックアップしたことがありましたが、今回はもっと時代をさかのぼってウィリアム・シェークスピアのころのロンドンをテーマにした本にしたいと思います。





本のタイトルは”Globe:Life in Shakespear’s London”です。著者はCatharine Arnold。






それでは英文を見てみましょう。




今回の英文


In the opening chapter I imagine a young Shakespeare encountering London for the first time. The chapters that follow explore the way in which acting came of age as a trade during the 1570s and 1580s, and how the troupes of touring players who roamed the country lanes were transformed scruffy vagabonds playing outside village inns to the finely dressed 'strutters' of the Globle itself.



今回の英文の音声を聞きたい方はこちらをどうぞ!








全体訳



この始まりの出来事のときに、シェイクスピアは人生初のロンドンに出会ったのではないかと思う。それに続く1570年代から1580年代まで、演劇を仕事としてやっていけるような道を探っていく時代になる。そして、あてもなく田舎道を彷徨する旅の役者一座は、町はずれで演劇をするみすぼらしい流れ者から一転して、きれいに着飾ったグローブ座の「肩で風切る者たち」になったのである。





この英語、こう使おう!
”chapter”
「章」としてのイメージが強い名詞の”chapter”には、「人生や歴史のある時期」という意味があります。ただ、今回はシイェクスピアについての本であることを忘れてはいけません。やっぱり戯曲の「章」という意味もかけているのではないでしょうか。






encounter”
”encounter”は「出会う」「出くわす」という日本語があてられる動詞(瞬間の動作動詞)ですので、”meet”に「お、まさか」という気持ちが込められています。予想していなかったことや人にあうんですね。








explore”
”explore”という動詞は「探検する」「探査する」といった未知の土地を歩いて確かめるイメージがあるので、それと同じように今回は「これまで経験したことがないことを慎重に試していく」という意味になります。

このころのシェイクスピアに関する記録はほとんどなく、"The lost years"(失われた年月)と言われています。






acting”
シェイクスピアの話なので、”acting”という名詞で「演劇」「芝居」という意味になっています。





”come age of”
文章が10代の少年についての話ならば”come age of”は「成人する」という意味になりますが、1570年代から1580年代にかけて成人するのはおかしいので、今回は「失われた年月」を過ぎ、「世間に認められるくらいにまでなる」というニュアンスになります。






”trade”
英語には「仕事」の概念が日本語よりも細かく分かれているのかもしれません。以前に出てきたoccupationも仕事でした。そして、売買や貿易などに意味がある名詞の”trade”にも「仕事」という意味があります。この仕事は「特殊なトレーニングや技術が必要とされる」仕事です。たしかに演劇はtradeの1つに入りそうです。






 ◎troupe”
”troupe”はまさに演劇のグループに使われる「一座」です。







”roam”
動詞の”roam”は「とくにゴールとなる目的地もなく、あちこちと旅を続ける」イメージです。







”country lane”

”country lane”はまた以前に出てきた”path”や”aisle”とは違う道です。まぁcountryがついちゃってますし。「田舎道」という日本語がそのままな感じがしますね。しかも細い道です。”country road”も同じような意味ですが、あの歌のようにcountryは「故郷」の意味が強くなっています。

生まれ故郷のストラドフォードを発ってからロンドンで衆目を集める存在になるまで、彼らはそうした道を放浪(vagabond)していたんですね。






”transform”
”transform”は「構成やつくりなどの形を変える」というニュアンスの動詞(瞬間の動作動詞)です。外見だけでなく特性まで変えてしまいます。そう、映画の『トランスフォーマー』のように。

それくらいシェイクスピアはストラドフォードを出たときにはほとんど無名だったのが、ロンドンでは別人のような扱いを受けるようになったわけです。




”scruffy”
形容詞の”scruffy”は「汚れている感じ」と「だらしない感じ」を兼ね備えたなかなか辛辣なお言葉です。「清潔感がない」んでしょうね。"desheavelled"に比べて不潔なところにポイントを置いているようです。







”vagabond”
”vagabond”は名詞で、「住む場所あるいは仕事が決まっていないで放浪している人」というニュアンスです。「根無し草」といった日本語が近いでしょうか。井上雄彦さんのマンガ『バガボンド』はこれです。







” inn”
この名詞も田舎の方にある小さな「宿」を言います。







”finely”
今回は”dressed”という服装についての形容詞を修飾しているので、「美しく」「きらびやかに」といった意味になっています。








”strutter”
”strutter”を辞書で調べてもそのままでは出てこないかもしれません。英語によくある、「~する人」という意味で動詞に”er”をつける形です。”strut”は「いかにも偉そうに歩く」というニュアンスなので”strutter”は「いかにも偉そうに歩く人」となります。

ロンドンの街をドヤ顔で歩いていたんでしょう。








”the Globle”

globe”についての基本的な意味を書いた記事は以前にもありましたが、今回はgが大文字になっているので固有名詞「グローブ座」(一番上の写真)という意味になります。

グローブ座は1599年に作られています。現在のものは復元された建物です。シェイクスピアはグローブ座の建造にあたって出資した株主5人の1人になっています。

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英日産業翻訳者です。IT系やスポーツ関連商品などの企業コンテンツ、コミュニケーションやゲームのアプリの翻訳やレビュー、品質管理をしています。 2020年に東京から和歌山に移住しました。時間ができると、美味しいものやきれいな景色、由緒あるスポット、面白いイベントを求めて、折りたたみ自転車でふらふらと出かけていきます。

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