さて、今回はロンドンにまつわる小話を集めた本を取り上げたいと思います。
タイトルは”A Curious Guide to London”です。著者はSimon Leylandです。
今回の英文はそんなロンドンの小話を教えてくれた老人と出会った場面の文章です。
今回の英文
The pub was strangely quiet considering the time of day and the events unfurling outside. I ordered a pint and sat down at the bar looking at the rain through the window. No sooner had I taken my first sip than a slightly dishevelled elderly man wearing an Evening Standard waterproof jacket sat down beside me and started talking to me as if I were a long-lost friend.
※英文の読み上げにはtext-to-speechをご利用ください。
全体訳
日中の時間帯で外はいろんな出来事が起きているのを思うと、パブの中はなんだか妙に静かだった。私はビールを一杯頼むと、カウンター席に腰を掛けて窓越しに雨を眺めた。最初の一口をすすってすぐだった。1人の年配男性が私の隣に座った。イブニング・スタンダードのレインコートを着ていて、ちょっと身なりがだらしない。彼はまるでずっと音信不通だった友人相手のようにこちらに話しかけてきた。
この英語、こう使おう!
- “strangely”は「普通とは違う」感じですが、それに加えて「驚き」のニュアンスも含まれています。「えっ」「あれっ」という気持ちで使いましょう。
- 「静か」は”quiet ”と覚えますが、かならずしも「無音」なわけではありません。「ほとんど」音がしない状態です。
- 今回のように”considering”を使えると、文章に変化がつけられるかもしれません。先に、パブは妙に静かだった、という事実を言っておいて、それは、日中の喧噪であふれている外の世界を思うと「妙に静かに感じた」ということを伝えたいんですね。どうして妙に静かに感じたのかという理由を”because”ではなくconsideringを使うことで、コンパクトにまとめてパブの外と中の状況を対比することができています。便利ですねー。
- 今回の”day”は、”the time of”がついていることや文脈から「日中」という意味であることがわかります。
- “unfurl”は”furl(きつく巻く)”に”un(~ない)”がついています。旗や傘を巻くときに使う単語です。なのでunfurlはその逆、「開く」になります。そこから転じて、物事が「繰り広げられている」様子に使ったりします。具体的なものと観念上ものに使える英語は多いのでチェックですね。ここからは私の想像になりますが、わざわざこの単語を使ったのは、外では雨が降っていることとつながっているようです。そう、「傘」です。あえて意識してこの単語を選んだのではないかなぁ、と。
- イギリスでの”a pint”は0.568リットルです。そしてていねいに”beer”をつけなくても、これだけでビール一杯という意味になります。この前の文章によると、雨宿りをするためにパブに入ってさっとビール0.568リットルを頼んでいるんですね。
- 「席に着く」というニュアンスで椅子に座るときには”sit down at”と、atを使います。テーブルにつくとかにもatです。
- “No sooner had I”は文法で言う「倒置」が起きている文章です。日本語でも同じですが、倒置をするということはどこかを強調したいということです。今回で言うと一口ビールを飲んだ、「本当にそのすぐあと」ということを強調しています。
- “sip”は”drink”の「ちびちび」バージョンですね。「すする」というのも近いのでしょうが、お酒なのでやっぱりちびちび飲るというのがイメージに合っているでしょう。ただ、今回は名詞として使われていますね。
- “slightly”は”little”と使える場面はあまり変わらないでしょう。ただ、イメージとしては、「薄っすら」という厚みの少なさが伝えられます。今回で言えば、うっすらだらしがないんですね。
- “dishevelled”は、これだけで「けっこうだらしがない」状態という意味に使えますが、服や髪など、外見に対してです。時間にルーズな状態にはあてはまりません。今回はslightlyがつけられているので、書き手の気持ちとしては若干気になるくらいの服装だったのでしょう。
- “waterproof”は「防水性の」という意味ですが、今回はjacketにくっついていて「防水性の上着」となっているので、合わせて「レインコート」として使えるのではないでしょうか。
- ”beside”は「すぐ横」と、位置関係だけでなく距離の近さを伝えることができます。
- “as if I were”は文法で言う「仮定法」ですね。仮定法は現実には決して起こりえない、もう一つの世界をイメージしてもらえるとOKです。wasのはずがwereになっているのが仮定法の証しです。
- “long-lost“はとても長い年月、会ってもいなければ消息さえもつかめていないときに使います。
それではそれぞれの英語のニュアンスを感じながら、音読を10回しましょう。
ロンドンのバーやパブの中から100点を厳選した本の回もあるので、よかったらどうぞ!
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