2015年7月31日金曜日

「放浪」についての英語。シェイクスピアについての本から。

こんにちはー、トレーナーどばしです。




以前、ディケンズの足跡をたどる本をピックアップしたことがありましたが、今回はもっと時代をさかのぼってウィリアム・シェークスピアのころのロンドンをテーマにした本にしたいと思います。





本のタイトルは”Globe:Life in Shakespear’s London”です。著者はCatharine Arnold。






それでは英文を見てみましょう。




今回の英文


In the opening chapter I imagine a young Shakespeare encountering London for the first time. The chapters that follow explore the way in which acting came of age as a trade during the 1570s and 1580s, and how the troupes of touring players who roamed the country lanes were transformed scruffy vagabonds playing outside village inns to the finely dressed 'strutters' of the Globle itself.



今回の英文の音声を聞きたい方はこちらをどうぞ!








全体訳



この始まりの出来事のときに、シェイクスピアは人生初のロンドンに出会ったのではないかと思う。それに続く1570年代から1580年代まで、演劇を仕事としてやっていけるような道を探っていく時代になる。そして、あてもなく田舎道を彷徨する旅の役者一座は、町はずれで演劇をするみすぼらしい流れ者から一転して、きれいに着飾ったグローブ座の「肩で風切る者たち」になったのである。





この英語、こう使おう!
”chapter”
「章」としてのイメージが強い名詞の”chapter”には、「人生や歴史のある時期」という意味があります。ただ、今回はシイェクスピアについての本であることを忘れてはいけません。やっぱり戯曲の「章」という意味もかけているのではないでしょうか。






encounter”
”encounter”は「出会う」「出くわす」という日本語があてられる動詞(瞬間の動作動詞)ですので、”meet”に「お、まさか」という気持ちが込められています。予想していなかったことや人にあうんですね。








explore”
”explore”という動詞は「探検する」「探査する」といった未知の土地を歩いて確かめるイメージがあるので、それと同じように今回は「これまで経験したことがないことを慎重に試していく」という意味になります。

このころのシェイクスピアに関する記録はほとんどなく、"The lost years"(失われた年月)と言われています。






acting”
シェイクスピアの話なので、”acting”という名詞で「演劇」「芝居」という意味になっています。





”come age of”
文章が10代の少年についての話ならば”come age of”は「成人する」という意味になりますが、1570年代から1580年代にかけて成人するのはおかしいので、今回は「失われた年月」を過ぎ、「世間に認められるくらいにまでなる」というニュアンスになります。






”trade”
英語には「仕事」の概念が日本語よりも細かく分かれているのかもしれません。以前に出てきたoccupationも仕事でした。そして、売買や貿易などに意味がある名詞の”trade”にも「仕事」という意味があります。この仕事は「特殊なトレーニングや技術が必要とされる」仕事です。たしかに演劇はtradeの1つに入りそうです。






 ◎troupe”
”troupe”はまさに演劇のグループに使われる「一座」です。







”roam”
動詞の”roam”は「とくにゴールとなる目的地もなく、あちこちと旅を続ける」イメージです。







”country lane”

”country lane”はまた以前に出てきた”path”や”aisle”とは違う道です。まぁcountryがついちゃってますし。「田舎道」という日本語がそのままな感じがしますね。しかも細い道です。”country road”も同じような意味ですが、あの歌のようにcountryは「故郷」の意味が強くなっています。

生まれ故郷のストラドフォードを発ってからロンドンで衆目を集める存在になるまで、彼らはそうした道を放浪(vagabond)していたんですね。






”transform”
”transform”は「構成やつくりなどの形を変える」というニュアンスの動詞(瞬間の動作動詞)です。外見だけでなく特性まで変えてしまいます。そう、映画の『トランスフォーマー』のように。

それくらいシェイクスピアはストラドフォードを出たときにはほとんど無名だったのが、ロンドンでは別人のような扱いを受けるようになったわけです。




”scruffy”
形容詞の”scruffy”は「汚れている感じ」と「だらしない感じ」を兼ね備えたなかなか辛辣なお言葉です。「清潔感がない」んでしょうね。"desheavelled"に比べて不潔なところにポイントを置いているようです。







”vagabond”
”vagabond”は名詞で、「住む場所あるいは仕事が決まっていないで放浪している人」というニュアンスです。「根無し草」といった日本語が近いでしょうか。井上雄彦さんのマンガ『バガボンド』はこれです。







” inn”
この名詞も田舎の方にある小さな「宿」を言います。







”finely”
今回は”dressed”という服装についての形容詞を修飾しているので、「美しく」「きらびやかに」といった意味になっています。








”strutter”
”strutter”を辞書で調べてもそのままでは出てこないかもしれません。英語によくある、「~する人」という意味で動詞に”er”をつける形です。”strut”は「いかにも偉そうに歩く」というニュアンスなので”strutter”は「いかにも偉そうに歩く人」となります。

ロンドンの街をドヤ顔で歩いていたんでしょう。








”the Globle”

globe”についての基本的な意味を書いた記事は以前にもありましたが、今回はgが大文字になっているので固有名詞「グローブ座」(一番上の写真)という意味になります。

グローブ座は1599年に作られています。現在のものは復元された建物です。シェイクスピアはグローブ座の建造にあたって出資した株主5人の1人になっています。

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運営者紹介

英日産業翻訳者です。IT系やスポーツ関連商品などの企業コンテンツ、コミュニケーションやゲームのアプリの翻訳やレビュー、品質管理をしています。 2020年に東京から和歌山に移住しました。時間ができると、美味しいものやきれいな景色、由緒あるスポット、面白いイベントを求めて、折りたたみ自転車でふらふらと出かけていきます。

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