2023年5月30日火曜日

ベネチアのカナル・グランデの水が緑に!その原因は…で英語学習

 


ゴンドラが行き交うベネチアの象徴的な観光名所カナル・グランデが5月28日、水が蛍光緑に染まる出来事があり、原因不明のまま1日が過ぎました。


日本時間の30日(現地時間29日)に原因物質が判明したようです。それではアイルランドの公共放送RTEのツイートを見てみましょう。



The spectacular transformation of a stretch of Venice's Grand Canal to fluorescent green is due to fluorescein, a non-toxic substance used for testing wastewater networks, according to local authorities


つぎに音読用のフォニックス・シラブル文です。

ðə spɛkˈtæ kjə lər ˌtræns fərˈmeɪ ʃən ʌv ə strɛʧ ʌv ˈvɛ nɪ sɪz ɡrænd kəˈnæl tu ˌflʊˈrɛ sənt ɡri nɪz du tu flùə ré siin, ə nɑn-ˈtɑk sɪk ˈsʌb stəns juzd fɔr ˈtɛs tɪŋ ˈ      weɪst wɔ tər ˈnɛˌtwɜrks, əˈkɔr dɪŋ tu ˈloʊ kəl əˈθɔ rə tiz


単語などの解説です。

  • spectacular: 「壮観な」「見事な」といった素晴らしい景色などポジティブな意味で使われます。日本に住む人だと入浴剤を連想させる色ですが、皮肉も混じった表現なのかもしれませんね。
  • transformation: 「変貌」「一変」。changeよりも劇的に変化する状態を指します。
  • stretch: 「ストレッチ」のイメージから「伸ばす」などの意味を思い浮かべますが、そこからさらに発展して「一帯」「一面」といった意味になります。点や線を面に伸ばしたと考えればいいでしょうか。
  • Grand Canal: 大運河という意味ですが、固有名詞でベネチアの大運河といえば「カナル・グランデ」を指します。China's Grand Canalであれば黄河と長江を結ぶ「京杭運河」になります。
  • to: このtoはどことつながっているかというと、前のtransformationに続いています。「~へ」一変した状態を指しています。
  • fluorescent green: 「蛍光緑」。
  • fluorescein: 「フルオレセイン」。蛍光色素の一種で、フタレインとレソルシノールを原料として合成され、顕微鏡観察でも用いられる、そうです…。
  • a non-toxic substance: 「非毒性物質」。toxicが「毒性の」という意味ですね。
  • wastewater networks: 「下水網」。
  • local authorities: よくニュースで出てくる「地元当局」です。警察など対応に当たっている地方行政の機関を指します。

それでは日本語訳をどうぞ。


地元当局によると、ベネチアのカナル・グランデ一帯を見事なまでの蛍光緑色に一変させたのは、下水網検査に使用される非毒性物質のフルオレセインが原因だということだ。



どうして蛍光物質が流れ込んでいるのかについてはまだわかっていないようですが、カナル・グランデは1968年にもライトグリーンに染まったことがあるそうです。




この時は芸術家のニコラス・ガルシア・ウリブル氏がベネチアビエンナーレ国際美術展に招待されたときに、環境問題への啓発メッセージとしてフルオレセインをまいたのでした。今回も同様のケースではないかという意見もありますが、まだ捜査中とのことです。それではまた!












 

2023年5月21日日曜日

オーストラリア大統領のクアッド首脳会談ツイートで英語学習!

 


 現在広島でG7サミットが開かれていますが、それにともなった各国首脳会議も行われています。その一つが日本、アメリカ、オーストラリア、インドの日米豪印戦略対話(QUAD)です。オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相のツイート内容を見てみましょう。


I am proud to stand with my Quad partners in Hiroshima today.

Together we will seize the opportunities ahead of us, and use our collective strengths to meet the challenges we face. 


では、この文章のフォニックス・シラブル文です。


aɪ æm praʊd tu stænd wɪð maɪ kwɑd ˈpɑrt nərz ɪn ˌhɪ roʊˈʃimə təˈdeɪ.

təˈɡɛ ðər wi wɪl siz ði ˌɑ pərˈtu nə tiz əˈhɛd ʌv ʌs, ænd juz ˈaʊ ər kəˈlɛk tɪv strɛŋkθs tu mit ðə ˈʧæ lən ʤɪz wi feɪs. 


単語などの意味は次の通りです。

  • Quad: 「4っつの」「4個の」という意味のクアッド。シングル、ダブル、トリプルに続く言葉で、クアドルプルの略語です。狭義で日本、アメリカ、オーストラリア、インドの首脳が安全保障や経済を協議する会合をクアッドと呼んでいます。
  • seize the opportunities: 「機会をつかむ」。ほとんど直訳のままの意味ですね。
  • collective strengths: 「結束力」。collectiveは「共同の」、「総体の」といった集団の意味を持ちます。ここではstrengthsと複数形になっています。各国間での関係を指しているのかもしれません。

それでは最後に日本語訳です。

今日、クアッドのパートナーたちと広島の地に立てたことを誇りに思います。

クアッド参加国で今見えている機会を逃すことなく、また直面している課題に対処するために、我々の結束力を発揮していきましょう。


広島サミットは今日21日までで、来年のG7サミットはイタリアで開催される予定です。










2023年5月15日月曜日

トルコ大統領選速報で英語学習!

 


現職のエルドアン氏と野党の統一候補クルチダルオール氏が接戦を繰り広げているトルコ大統領選の速報を伝えるソマリアの通信社によるツイートです。内容を見てみましょう!


#TurkeyElection Update: With 95.09% of votes counted:


Erdogan (AK Party): 49.52%

Kilicdaroglu (CHP): 44.76%

Ogan (ATA): 5.28%

Ince (unknown): 0.44% (withdrawn)


In the absence of a 50%+ vote for any candidate, a runoff between the top two seems likely. Stay tuned for final…


音読練習用のフォニックス・シラブルです。名前などは原文のままになっています。


TurkeyElection əpˈdeɪt: wɪð ˈnaɪn ti faɪv pɔɪnt ˈzɪ roʊ naɪn pərˈsɛnt ʌv voʊts ˈkaʊn təd:




Erdogan (eɪ-keɪ ˈpɑrti): ˈfɔr ti naɪn pɔɪnt ˈfɪ fti tu pərˈsɛnt


Kilicdaroglu (si-eɪʧ-pi): ˈfɔrti fɔr pɔɪnt ˈsɛ vən ti sɪks pərˈsɛnt


Ogan (ˈɑtə): faɪv pɔɪnt ˈtwɛn ti eɪt pərˈsɛnt


Ince (ənˈnoʊn): ˈzɪ roʊ pɔɪnt ˈfɔr ti fɔr pərˈsɛnt (wɪθˈdrɔn)




ɪn ði ˈæb səns ʌv ə ˈfɪfti pərˈsɛnt plʌs voʊt fɔr ˈɛni ˈkæn də deɪt, ə ˈrʌˌnɔf bɪˈtwin ðə tɑp tu simz ˈlaɪ kli. steɪ tund fɔr ˈfaɪ nəl


そして単語などの解説です。

  • votes counted:「開票率」
  • AK party:「公正発展党」。2002年11月議会選挙での勝利以降、トルコの政権与党を務めています。
  • CHP:「共和人民党」。トルコ最大野党で建国の父ムスタファ・ケマル・アタテュルク氏が創設した正統です。
  • ATA:「ATA同盟」。小党4党で構成されています。
  • In absence of:「がいない」。
  • a 50%+ vote:「過半数」。+は以上という意味で、50%以上です。
  • any canditate:「いずれの候補者も」
  • runoff:流出などの意味がありますが、この文章では「決選投票」になります。
  • between the top two:「上位2者で」
  • seems likely:「となりそうだ」
  • Stay tuned:「引き続き目が離せない」。テレビやラジオで「チャンネルはそのまま」「乞うご期待」といった意味でよく使われますね。


決選投票となった場合、投票は今月28日に行われます。まさにStay tuned!ですね。

それではまた!







 

2023年5月11日木曜日

どうなるアメリカの債務上限、で英語学習!

 


今月19日から広島でG7の開催が予定されています。参加国の中で注目を集めているのがもっとも影響力のあるアメリカ。債務上限の引き上げが下院で野党の共産党の反対によって行き詰った状態にあり、G7も状況によってはオンラインで参加する可能性も出ています。今回はジョー・バイデン大統領が国民に向けて投稿したツイートです。


You might be hearing folks in D.C. talking about a default.


Here's the bottom line if House Republicans refuse to pay our bills:


Higher interest rates

Risk of halted Social Security payments

And the 12.7 million jobs we've added on my watch?


Over half that many could be gone.


この文のフォニックス・シラブルです。


ju maɪ tbi ˈhi rɪŋ foʊks ɪn di.si. ˈtɔ kɪŋ əˈbaʊt ə dɪˈfɔlt.


hɪrz ðə ˈbɑ təm laɪn ɪf haʊs rɪˈpʌ blɪ kənz rɪˈfjuz tu peɪ ˈaʊ ər bɪlz:


ˈhaɪ ər ˈɪn trəst reɪts

rɪsk ʌv ˈhɔl təd ˈsoʊ ʃəl sɪˈkjʊ rəti ˈpeɪ mənts

ænd ðə twɛlv pɔɪnt ˈsɛ vən ˈmɪ ljən ʤɑbz wiv ˈæd əd ɑn maɪ wɑʧ?


ˈoʊ vər hæf ðæt ˈmɛ ni kʊd bi ɡɔn.



単語などの解説です。


  • folks in D.C.…(ワシントン)D.C.の人たち、つまり「国会議員」を指しています。フランクな言い方ですね。親しみやすい言葉で語りかけているのでしょう。
  • a default…「債務不履行」。このままだと米国政府債務は31兆4,000億ドルの法定上限に達し、国債の新規発行ができなくなりますが、返済能力には問題がないテクニカル・デフォルトになります。しかし、同国内だけでなく、世界経済への影響も少なからず発生すると見られています。
  • the bottom line…ここは掛けことばになっています。「結果としては」という意味で使われていますが、bottom lineは「当期純利益(最終損益)」といった会計に使われる言葉でもあります。
  • interest rates…「金利」。
  • halted of Social Security payment…社会保障の(国からの)支払い停止
  • on my watch…直訳すると「私の監視下で」ですが、少し原文よりニュアンスが強くなってしまうでしょうか。意訳になりますが「私の政権下で」でもいいかもしれませんね。
  • could be gone…「失われるでしょう」。これもgoという単語を使うことで、文章が固くならないようにしているのではないでしょうか。


それでは最後に日本語訳です。

ワシントンDCの議員たちが今債務不履行について議論していると耳にしているかもしれません。
 
下院共和党が国の請求書(国債)の支払いを拒否した場合、次のような結果になるでしょう。

金利が上がる
社会保障が受け取れなくなるリスクが発生する
そして、私の政権下で創出した1,270 万件の雇用はどうなるでしょうか?

半数以上が失われる可能性があります。


2月にも歳出削減を求める共和党とバイデン政権の間で協議が難航しました。大統領選のかけひき材料にもなってしまっている債務上限の引き上げは今後どのような決着を見るのでしょうか。


それではまた!





 

2023年5月9日火曜日

マスク氏、ツイッターの休眠アカウント削除へ、で英語学習!

 


 ツイッターを使われている読者の方はいくつのアカウントを持っていらっしゃるのでしょうか。もしかしたら長いあいだ使わずにそのままになっているものもあるかもしれませんね。Twitter社の最高経営責任者(CEO)であるイーロン・マスク氏がそんな休眠アカウントへの対応についてツイートしました。


まずはその英文を見てみましょう。

We’re purging accounts that have had no activity at all for several years, so you will probably see follower count drop


つぎに音読用のフォニックス・シラブル文です。

wir ˈpɜr ʤɪŋ əˈkaʊnts ðæt hæv hæd noʊ ækˈtɪv əti æt ɔl fɔr ˈsɛv rəl jɪrz, soʊ ju wɪl ˈprɑ bə bli si ˈfɑ loʊ ər kaʊnt drɑp


単語などの解説です。

  • purging…「(完全に)消去する」の現在進行形です。ITの分野では「パージする」という言葉になりますが、使用されていない記録をデータベースから完全消去することを指します。
  • no activity…「非アクティブな」つまり休眠状態です。
  • follower count…「フォロワー数」。
  • drop…急激に「減少する」。

最後に日本語訳です。

(Twitter社は)現在、休眠状態が数年続いているアカウントを削除しています。そのため、あなたのフォロワー数もこれから大きく減少する可能性があります。


これからフォロワー数が目に見えて減るかもしれませんが、ブロックやフォロー解除ではなくTwitter社の方針によるものだそうです。それではまた!





2023年5月8日月曜日

ロシア、モスクワで大規模火災、で英語学習!

 


大統領府に攻撃を仕掛けたドローンを撃墜したというロシアの発表から数日が経った5月7日(現地時間)、モスクワで大規模火災が発生したようです。その様子を伝えるツイートの英文から見てみましょう。


Moscow is on fire, a construction site caught fire near the FSB Academy. A column of smoke can be seen from almost anywhere in the city.


つぎにフォニックス・シラブルです。

ˈmɑˌskoʊ ɪz ɑn ˈfaɪ ər, ə kənˈstrʌ kʃən saɪt kɑt ˈfaɪ ər nɪr ði ɛf-ɛs-bi əˈkæ də mi. ə ˈkɑ ləm ʌv smoʊk kæn bi sin frʌm ˈɔlˌmoʊst ˈɛniˌwɛr ɪn ðə ˈsɪ ti.


単語などの解説です。

  • on fire…「火災が発生」。人々が「熱狂する」という意味でも使われます。
  • construction site…「建築現場」。
  • caught fire…「出火した」。catch fireの過去形です。
  • the FBS Academy…「ロシア連邦保安庁アカデミー」。保安将校養成を目的としたロシア連邦保安庁の教育機関(士官学校)です。
  • colum…柱

それでは日本語訳です。

モスクワで火災が発生している。FSBアカデミー付近の建設現場で出火。市内のどこからでも目にすることができるくらいの煙の柱が立ち上っている。


まだウクライナとの関係は判明していないようです。それではまた!



2023年5月6日土曜日

チャールズ国王戴冠式、で英語学習!

 


 5月6日にイギリスで戴冠式が行われ、チャールズ国王(チャールズ3世)が新国王となります。戴冠式はエリザベス女王の時以来の70年ぶりで、2200人以上が参列します。それではロイター通信のツイートで英語学習をしましょう!


Buckingham Palace is surrounded by fans and security as the coronation of King Charles takes place in London.


この文のフォニックスとシラブルです。


ˈbʌ kɪŋˌhæm ˈpæ ləs ɪz səˈraʊn dəd baɪ fænz ænd sɪˈkjʊ rəti æz ðə ˌkɔ rəˈneɪ ʃən ʌv kɪŋ ʧɑrlz teɪ ks pleɪs ɪn ˈlʌn dən.


単語などの単語などの解説です。

  • surrounded…surroundの過去分詞形。ぐるりと囲まれた状態です。
  • fan…イギリス王室のファン、がいるんですね。
  • security…「安全」という日本語がまず思い浮かびますが、「警備」の方のセキュリティーです。
  • coronation…今回のキーワード「戴冠式」です。即位式などにも使われます。
  • King Charles…チャールズ国王
  • takes place…「執り行われる」の意味です。事件や災害が「発生する」という意味もあります。

それでは日本語訳です。


チャールズ国王の戴冠式が執り行われるロンドンのバッキンガム宮殿を王室ファンと警備員に囲まれる。


戴冠式は午後7時からとなっています。日本でもテレビを通して見守る人が大勢いそうですね!






2023年5月5日金曜日

エムバペ移籍?カタール元首相息子の動向に注目!で英語学習

 


5月5日(現地時間4日)に三苫選手が所属するブライトンと対戦して試合終了間際にPKによる失点で敗れたマンチェスター・ユナイテッド。チームの買収にカタール元首相の息子であるシェイク・ジャシム・ビン・ハマド・アル・タニ氏がチームの買収に名乗りを上げています。


まずはTransfer News Liveの投稿からです。

If Sheikh Jassim’s attempt to buy Manchester United is successful, he wants to sign Kingsley Coman, Eduardo Camavinga and Kylian Mbappé.


つぎに音読用のフォニックス・シラブルです。

ɪf ʃik Ja ssim's əˈtɛmpt tu baɪ ˈmænˌʧɛ stər juˈnaɪ təd ɪz səkˈsɛs fəl, hi wɑnts tu saɪn ˈkɪŋ zli ˈkoʊ mən, ɛˈdwɑr doʊ Ca ma vin ga ænd Ky li an Mba ppé.


単語などの解説です。

・attempt…けっこう頑張りが必要な「試み」。努力が必要な挑戦です。

・sign…「契約する」。契約の意味になる英語を説明した記事も合わせてどうぞ!

・Kingsley Coman…キングスレイ・コマン選手。フランス出身の選手で現在FCバイエルン・ミュンヘンに所属しています。

Eduardo Camavingaエドゥアルド・カマヴィンガ選手。アンゴラ出身のレアル・マドリード所属の選手です。

Kylian Mbappé…キリアン・エムバペ選手。フランス出身でパリ・サンジェルマン所属。このニュースで一番注目される選手ですね。


スペインメディア「フィチャージェスネット」がこの投稿のソースになっているようですが、これからの動向が気になりますね。それではまた!







 

大谷翔平選手ベーブ・ルースの記録をまたも更新!で英語学習

 


5月4日(現地3日)にWBCでともに戦った大谷選手とヌートバー選手の対決で盛り上がりましたね!結果は3打席連続三振と大谷選手に軍配が上がりましたが、次回の勝負がまた楽しみです。

では今回の英文です。


Shohei Ohtani is still channeling Babe Ruth. They are the only players in AL/NL history to notch 500+ Ks as a pitcher and 100+ HR as a hitter.


つぎに音読用のフォニックス・シラブルです。

Sho hei Oh tani ɪz stɪl ˈʧæ nə lɪŋ beɪb ruθ. ðeɪ ɑr ði ˈoʊn li ˈpleɪ ərz ɪn  ə ˈmɛ rə kən liɡ / ˈnæ ʃə nəl liɡ ˈhɪs təri tu nɑʧ faɪv ˈhʌn drədz + Ks æz ə ˈpɪ ʧər ænd wʌn ˈhʌn drəd + hoʊm ˈrʌn æz ə ˈhɪtər.



単語などの説明です。

・channeling…「チャンネル」のchannelです。今回は「切り開く」という意味が近いでしょうか。

・AL…American Leagueの略語。15チームが所属しています。

・NL…National Leagueの略語。やっぱり15チームが所属しています。

・notch…記録や成果を「収める」「残す」という意味で使われています。


最後に日本語訳です。

大谷翔平選手がベーブ・ルースの記録をまたも更新した。アメリカンリーグとナショナルリーグの歴史上、投手として500個以上の奪三振、打者として100本以上のホームランを記録した選手はこの2人しかいない。


これからの記録がさらに楽しみですね!それではまた!



 

2021年11月22日月曜日

アパルトヘイト撤廃のもう一人の立役者についての英文を深堀り!

 ネルソン・マンデラの陰に隠れた男、デクラーク Web版アルジャジーラ11/14より




短い英文をじっくり精査して理解を深める「深掘り!」シリーズ。今回は中東のテレビ局アルジャジーラのWeb版の社説記事からピックアップします。


記事を作成したのは南アフリカのライターでコメンテーターのSisonke Msimangさん(@Sisonkemsimang)。ザンビアに生まれ、家族とともにケニア、カナダと移住をしたMsimangさんはさまざまな人種差別を経験します。理想の社会を求めてアパルトヘイトの撤廃された南アフリカに移り住むも、新規勢力の政治に希望を打ち砕かれます。そんな半生を自ら綴った"Always Another Country"(2018)はニューヨークタイムズ誌のStaff Favorite of 2018を始めとしてさまざまな賞を受賞しています。





TEDにも登壇しているので、こちらもどうぞ!








お待たせしました!今回の文章はアパルトヘイト時代最後の白人大統領フレデリック・ウィレム・デクラーク氏について書いたものです。ネルソン・マンデラ氏を釈放し、人種隔離政策を実質的に終わらせたデクラーク氏は1993年にノーベル平和賞を受賞しています。

しかし、国際的な評価とは対照的に、南アフリカ国内ではマンデラ氏のような英雄視はされていないようです。Msimangさんはデクラークという人物の実像に光を当て、その理由を明らかにしていきます。それでは記事を見ていきましょう!


"De Klerk was merely a footnote in South African history", by Sisonke Msimang

On Thursday₁, apartheid’s last leader, Frederik Willem de Klerk, died₂, sparking a national conversation₃ among South Africans about his life and legacy₄.

「木曜日、アパルトヘイト時代最後の指導者、フレデリック・ウィレム・デクラーク氏が死去した。デクラーク氏の生涯と彼が遺したものとは。南アフリカ国中の人々の間でその話題が持ちきりとなった。」

1.英語では日時に関する言葉は通常、文末に置かれることが多いですが、ここでは文頭に出てきています。つい最近起きた印象的な出来事であることを伝えています。
2.「木曜に、アパルトヘイト最後の指導者、フレデリック・ウィレム・デクラーク氏が、死去した」とカンマで区切られています。彼の死が大きな衝撃を与えるニュースであるという事実を表現しています。
3.sparkは火花が散るという意味。突如として脚光を浴びるようになった状態を表現しています。しかも、nationalなので南アフリカ全国で急に話題になった様子がわかります。また、a national conversationと不定詞のaがついているので、何か具体的な内容が特に話の中心になっているようです。
4.その内容とは、どうやらデクラーク氏の人生と、政治家として国に残したものに関するもの。legacyは「遺産」という訳がもっともよく当てられますが、日本語と同じく法的な財産などの形あるものだけではなく、制度や教え、文化など無形のものにも使われます。


Praise and support for De Klerk – who was South Africa’s president during its transition from white minority rule to democracy₁  – has been muted in the country₂, not simply because of his association with apartheid, but because of his many shortcomings as a statesman₃.

「少数派である白人による統治から民主主義への移行期に南アフリカ大統領を務めたデクラーク氏だったが、表立って称賛と支持が送られることはなかった。その原因はただアパルトヘイトを推進していた党に属していたというだけではない。デクラーク氏は指導者として持つべき資質がいくつも欠けていたのだ。」

1.democracyという語に対してminority ruleという語を並べ、白人による支配的政治が行われていた事実を強調しています。
2.カタカナ語で「ミュート」という日本語になっているmuted。デクラーク氏の業績は認めているはずなのに、国内のどこに行っても彼を称える声が聞かれず、国民は沈黙していたことがわかります。それが彼の死を機に堰を切ったように人々の間で語られるようになったのです。
3.おなじみのnot only...but also...の構文の仲間です。because ofが対になっているのでさらに明確に対比されています。shortcomingは一般的なlackよりも、特に能力や状態、思想において問題があったり欠陥があるときに使われます。前にある形容詞がmanyでshortcomingも複数形になっています。つまり漠然とした欠点ではなく、欠けているポイントを具体的に一つひとつ列挙するイメージです。statesmanは単なる政治家ではなく、閣僚や指導者など、行政機関の一員として実質的に関わる人です。この後の文章に出てきますが、大統領時代だけでなく、マンデラ政権時代も含めて言及しているのでstatesmanという語を使っているのでしょう。


In the words of Archbishop Desmond Tutu₁, “Mr. De Klerk could have gone down in history₂ as a truly great South African statesman, but he eroded his stature and became a small man3, lacking magnanimity and generosity₄ of spirit.”

「デズモンド・ムピロ・ツツ氏は次のような言葉を残している。『デクラークさんは南アフリカの歴史において偉大なる指導者として名を刻んでもおかしくないはずだった。それが自らの声望を少しずつ損ない続け、寛大と寛容の心に欠いた小人になり下がっていったのだ。」

1.デズモンド・ムピロ・ツツ氏は反アパルトヘイトの社会活動にも参加した南アフリカの聖公会牧師です。1984年にノーベル平和賞を受賞し、現在90歳(2021年11月現在)。
2.基本的な英語を使用した句動詞はそれぞれがカバーする意味が広く、便利に使うことができますが、リスニングやリーディングではその守備範囲の広さゆえに、意味を絞る作業が必要です。goとdownの組み合わせなので、辞書では「下りる(下がる)」「降りる」「沈む」などの意味が上位に並びますが、この文脈に当てはめるには不正確です。この文では「記憶に残る」という意味がぴったりでしょう。日本語だけだとgo downのイメージとずれているように感じられますが、年表の中で時代が進んで下の方に向かっても、忘れ去られずに残る様子を想像すると、イメージと一致するのではないでしょうか。
3.実際に背が縮んだのではなく(年齢によって身長が低くなっていたかもしれませんが)、心が狭量になっていった様子を示しています。上述したlegacyと同じです。
4.このように類語の形容詞をandで並列する形はよく見られます。Oxford Learner's Dictionaryによると、magnanimityは「behaviour that is kind, generous and forgiving, especially towards an enemy or competitor」とあります。敵対する人物に対して度量の広い様を表しています。一方、generosityは「the fact of being generous (= willing to do kind things or give somebody money, gifts or time freely)」とあり、積極的に善意を行う様子のようです。英和辞書もそうですが、英語のイメージをより具体的に理解するのに、実はカッコの中の文章が大切です。the fact of being generousだけではほとんどgenerosityの言い換えですが、willing to do kind things...によって使われる場面がはっきりします。


During his presidency (1989-1994) and his time as deputy₁-president to Nelson Mandela (1994-1996), De Klerk had an opportunity to shape the views of his white compatriots, elevate the voices of Black South Africans, and play a leading role in building a democratic South Africa. Instead, he repeatedly chose to equivocate and lie during his time in political power. Instead of reckoning with the past, De Klerk and the white politicians he led, tried to dodge it. As a result, De Klerk became a historical footnote₆.

「大統領在任時代(1989~1994)およびネルソン・マンデラ政権下の副大統領時代(1994~1996)において、デクラーク氏は同胞である白人の意見をまとめ、南アフリカの黒人層の声を拡大し、この国の民主主義の確立を牽引する役割を担うことができる立場にあった。ところが彼は政権の中にいる間、言を左右にし、嘘をつく行為をする方を何度も選んだ。デクラーク氏や彼に従った白人政治家たちは過去を清算することなく、それを避けるべく行動していた。それがゆえにデクラーク氏は歴史の中で付記のような存在になってしまったのだ。」

1.vice-presidentという言葉の方がよく使われますが、deputyには次席の意味に加え、大統領や社長が不在時に代行を務める「代理」意味も含まれます。
2.compatriotは「同国人、同胞」という意味。アパルトヘイト時代に南アフリカが分断されていた様子がわかります。
3.white compatriotの世界に対する存在として黒人社会を並べています。
4.equivocateは事実などを隠すためにあえて曖昧な言葉を使うというイメージです。白人と黒人それぞれの立場における意見を明確にし、それらを調整できる立場にあったのに、それをしなかった。むしろあえて避けていたデクラーク氏の姿勢を批判的に記述しています。
5.前の文と同じinsteadを並べ、権力を持つ側にいた政治家として本来行うべきこととは対照的な行動を取っていた姿を強調しています。
6.この記事のタイトルにも使われているキーワードです。南アフリカの歴史の中で最も大きな出来事の1つであるアパルトヘイトの撤廃。その移行期に政権の中枢にありながらマンデラ氏のような評価が与えられず、おまけのような存在になっていた状況を示しています。しかし、本人の死をきっかけにして再び注目が集まっていることから、その状況が一変しているのだとわかります。タイトルが過去形になっているのもその表れでしょう。


この後、Msimangさんはさらにデクラーク氏が政治家としてアパルトヘイト撤廃移行期にどのような行動を取ったのかを具体的に記述し、最後にマンデラ氏の彼に対する姿勢を示し、記事は締めくくられます。



国際ニュースなどだけではその出来事の一側面しか知ることはできないのかもしれませんね。歴史のまた違う部分を知ることができる記事でした。

今回も、最後までお読みいただきありがとうございました!


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英日産業翻訳者です。IT系やスポーツ関連商品などの企業コンテンツ、コミュニケーションやゲームのアプリの翻訳やレビュー、品質管理をしています。 2020年に東京から和歌山に移住しました。時間ができると、美味しいものやきれいな景色、由緒あるスポット、面白いイベントを求めて、折りたたみ自転車でふらふらと出かけていきます。

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