今回はロンドンをテーマにした小説を取り上げたいと思います。ローマ時代からビクトリア王朝時代までの1600年にわたる壮大な時代小説です。原書は800ページ以上もあるんですが、いつもの通りその一部をお届けします(汗)
タイトルは”London”で著者はEdward Rutherfurdです。
それでは紀元前54年のロンドンにタイムスリップしましょう。
今回の英文
The cold breeze was coming up the river from the estuary. There was a faint, sharp smell of mud and riverweed. Above, the bright morning star was beginning to fade as the clear sky turned to a paler blue.
The boy shivered. He had been standing an hour and he was cold. Like most of the folk there, he wore a simple woolen tunic that reached to the knees and was fastened at the wast with a leather belt.
The boy shivered. He had been standing an hour and he was cold. Like most of the folk there, he wore a simple woolen tunic that reached to the knees and was fastened at the wast with a leather belt.
英文の読み上げはこちらでどうぞ!"Say it !"のボタンを押してください。
全体訳
冷たい微風が河口の方から川をさかのぼってくる。かすかだが泥とカワゴケソウのつんとする匂いがする。顔を上げると、強い光を放つ明けの明星が晴れ渡って青みが薄れていく空に消えていこうとしている。
少年は震えていた。もう1時間も立ちっぱなしで寒くなったのだ。そのあたりの人たちと同じように、彼も簡素な羊毛のチュニックを着ていた。丈は膝まであり、腰のあたりに革のベルトを巻いて固く締めていた。
少年は震えていた。もう1時間も立ちっぱなしで寒くなったのだ。そのあたりの人たちと同じように、彼も簡素な羊毛のチュニックを着ていた。丈は膝まであり、腰のあたりに革のベルトを巻いて固く締めていた。
この英語、こう使おう!
- ”breeze”は”wind”の弱いバージョンです。「そよ風」などの日本語がよく使われますが、今回は”cold”とセットなので微風にしました。ふんわりと感じるくらいの風ですね。
- ”estuary”は広い川の河口、海へと注ぐところを指しますが、一般的には”mouth”を使います。ちょっとかしこまった言い方をするときにetuaryが使えます。日本語で言うと川裾とか川尻とかが近いのでしょうか。
- ”faint”は「あるかなきか、ほんのかすかな」状態に使えます。
- あまり日本語で「鋭い匂い」とは言いませんので、”sharp”独特のニュアンスをつかむ必要があります。sharpには「はっきりした」というところから「強い」というニュアンスがあります。しかも”smell”とセットの時には、やや「いい匂い」というイメージもあります。なので「臭い」ではなく「匂い」にしました。
- “above”については”Wid:From Lost to Found on the Pacific Crest Trail”の回をご覧ください。
- ”bright”はまさに「きらきらしている」感じですね。今回のように「光」にまつわる英語とは相性抜群です。
- ”the morning star”は朝方に出ている星という漠然としたものではありません。複数形じゃなfaいですしね。金星(Venus)が見えるのは朝と夕方だけですが、その朝見える金星、明けの明星がthe morning starです。
- ”fade”はただdisappear(消える)だけではなく、「徐々に薄くなって消えていく」ことをいいます。vanishのようにぱっとではないんですね。
- brightが光(light)と相性が抜群なら、こちらもやっぱり仲良しです。”clear”と”sky”。「晴れ渡って雲や霧がない」、空がクリアな状態です。快晴ですね。
- 色の表現によく”pale”は使われます。「白をたくさん含んだ」色になります。そして今回はさらっとpalerと比較級が使われています。学校で習う文法のようにthanが出てきていませんが、無理に「~より」と考えずに、こちらもfadeのように、少しずつ白が多くなってきているんだなぁとイメージすれば大丈夫です。
- ”shiver”は寒かったり怖かったり興奮しているときに「かすかに震える」ときに使います。擬音で表すなら「カタカタ」でしょうか。「ガタガタ」まではいきません。他の「震える」英語は「「震える」英語はバリエーション豊か。その震え、恐怖?寒さ?怒り?違いがわかる学習者になりたい。」の回をご覧ください。
- ”cold”は気温にだけだはなく、今回のように「寒いと感じる」「体が冷える」と、人間を主語にしても使えます。
- “folk”は”people”よりも地元感のある「人々」になります。人間臭さがあるというのでしょうか。民俗のニュアンスを含んでいます。
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