2015年6月18日木曜日

"discuss"とはあくまでも結論を出すための行為。その他、作戦の「先手」を意味する英語などについて。

こんにちは、トレーナどばし(@colisajp)です。



さて、使える英語音読36回目の今回は、イギリスのウェストン・チャーチルのファーストレディの生涯を追った本を取り上げたいと思います。


タイトルは”First Lady: The Life and Wars of Clementine Churchill”で、著者はSonia Pumellです。


第二次世界大戦中の首相としてイギリスを導いたウェストン・チャーチルですが、妻のクレメンタインの存在なくして戦争を乗り切ることはできなかったばかりか、首相にもなれなかったのではと言われています。


強い指導力を持つチャーチルでしたが、なかなか癖のある人物だっただけに彼女の力なくして難局にあったイギリスのかじ取りは不可能だったんですね。



きょうの英文


 Earlier that evening Winston and Clementine had discussed the prospects of the gambit's success again, at length and alone over a candle-lit dinner. No doubt he had poured out his fears and she had sought, as so many times before, to stiffen his resolve. Yet it could be put off no longer; the command to proceed had been given.

英文の読み上げにはtext-to-speechをご利用ください。

では全体の訳を見てみましょう。

全体訳

その日の夕方、ウィンストンとクレメンタインはその作戦が成功する見込みについてふたたび話し合っていた。明かりはろうそく一本だけの食事が終わってもなお、二人だけで話し込んだ。きっとウィンストンは不安な気持ちを吐き出していたに違いない。そして、それまでに何度もそうしてきたように、クレメンタインは決意を固めるよう促したはずだ。けれども、先延ばしになどもうできないのだ。作戦を開始させる指揮権は与えられているのだ。



出てきた英語の使い方



  • 「ディスカッション」というとなんだか議論を戦わせるイメージですが、”discuss”はあくまで何かを決定するために話し合うことです。手段としての話し合いですね。また、”had”がついた完了形になっていることで、話し合いをずっとその間続けていたニュアンスが伝わります。

  • “gambit”という単語はチェスなどで打つ「先手」といった意味合いがあり、単なる作戦というよりも、事を有利に進めるために相手の一歩先を行くニュアンスがあります。

  • “at length”には時間的な「ずっと」という長さを表す意味と、「細々と」という内容の密度を表す意味があります。この場合もしかしたら両方ふくめて言っているのかもしれませんね。

  • “over”は便利ですね。「終わっている」や「越えている」など日本語にするとたくさんの訳語が出てきますが、向こう側にまで行っているイメージですね。つまり今回は夕食の時間を超えて話していたことがわかります。

  • “No doubt”は日本語の「きっと」「おそらく」のように文頭に来て自分の見立てでは、という感じを出します。会話でこれだけを使うと「もちろん、いいよ」とか「ほんと、その通りだね」という意味で使えます。


  • “as~before”はいわゆる挿入の文ですね。”sought”はここを飛び越えて”to stiffen~"につながっています。

  • “resolve”には確固たる、揺るがない気持ちが含まれます。”stiffen”があることで一層、迷いを断ち切ることが求められているようです。

  • 否定形というと助動詞に”not”をつけることばかり考えてしまいますが、最後に”no longer”をつけることで印象が強くなりますね。



日本語を英語にしながら音読しましょう。

使い方をイメージしながら音読しましょう。
その日の夕方/ウィンストンとクレメンタインは/話し合った
 Earlier that evening/ Winston and Clementine /had discussed 

~の見込みについて/作戦の成功を/ふたたび
the prospects of /the gambit's success /again, 

ずっと/そして(2人)だけで/~過ぎまで/ろうそくの明かり/夕食
at length /and alone /over /a candle-lit dinner. 

きっと~だ/彼は/吐露した/彼の不安を/そして/彼女は/求めた
No doubt he had poured out his fears and she had sought, 

~のように/何度も何度も/以前に、固めるために/彼の決意を
as /so many times before, /to stiffen/ his/ resolve. 

けれど/それは/~になりえた/延期される/もはやできない、指揮権/開始するための/与えられていた
Yet /it could be /put off/ no longer; the command /to proceed/ had been given.

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英日産業翻訳者です。IT系やスポーツ関連商品などの企業コンテンツ、コミュニケーションやゲームのアプリの翻訳やレビュー、品質管理をしています。 2020年に東京から和歌山に移住しました。時間ができると、美味しいものやきれいな景色、由緒あるスポット、面白いイベントを求めて、折りたたみ自転車でふらふらと出かけていきます。

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