前の回がロンドンの廃線になった地下鉄を歩く本でしたが、今回もロンドンの「廃」つながりで、廃屋となった建物を集めた写真集です。不思議な世界です。
タイトルは”Derelict London”。”derelict”は放置されて見捨てられた状態のことを指します。著者はPaul Tallingです。
今回の英文
Constructed in 1873 by Charles Drake of the Patent Concrete Building Comany, it is one of the very few surviving examples of a nineteeth-century concrete house in England. Drake was an innovative builder-a few years before he built the house he patented the use of iron panels for shuttering in the place of timber.
英文の読み上げにはtext-to-speechをご利用ください。全体訳
建築はパテント・コンクリートビルディング・カンパニーのチャールズ・ドレークによるもので、1873年に建てられた。19世紀に建てられたコンクリート製の家としては、イギリス国内では残っている例がほとんどない。ドレークは創造力に溢れた建築家だった。この数年前には木材のよろい戸のかわりに鉄の板を用いた家を建てており、その特許を取得している。
この英語、こう使おう!
- “construct”と”build”はどちらも「つくる、建てる」という意味で、守備範囲の重なっているところが多いですね。ただ、それぞれの単語が持っているイメージはけっこう違うようです。constructは数学の「作図をする」という意味もあるので、完成形を目指して「組み立てていく」感じです。一方、buildは上に向かって「積み上げていく」感じです。なので発展性の意味を含んでいます。こうした微妙なニュアンスは外国語を学ぶ上で大切なことだと思います。
- “survive”は「サバイバル」のイメージから、人などが「生き残る」ことだというふうにすぐ思ってしまいますが、モノにも使えます。長い時間、あるいは危険な環境の中をくぐり抜けて存在し続けている状態を指します。
- “surviving”は現在分詞ですね。前回、過去分詞が登場しましたが、現在分詞も役割としては形容詞と同じです。今回は後ろにくっついている語句がないので、名詞の前に来ています。現在分詞になると次のような意味になります。「~している」という何かのまっただなかの状態か、「~させる」という何かに影響を与える状態です。今回は「存在し続けている」というまだまっただなかの状態ですね。
- “innovative”はこれまでになかったような方法や発想をすることです。「創造」であって、「想像」ではないということです。
- “in the place of”は「~のかわりに」という慣用表現として覚えてしまってもかまいません。でも”place”は具体的な「場所」だけでなく、日本語の「~のところ」ぐらいのぼやっとした使い方もできるので、”in the place of timber”を「木材をつかっていたところに」くらいの意味に覚えておくと、他のときにも使いやすいでしょう。もっとピンポイントな「ところ」のときには”in”ではなく”at”になります。
では、そんな単語のニュアンスを思い描きながら10回音読しましょう。
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